角田光代「月と雷」
子供時代、母親と二人で、全国を転々としながら暮らしてきた智。母親を拾ってくれた様々な人と共同生活をする中で、ずっと忘れられない女の子がいる。一時一緒に暮らしていた、同じ年の泰子という女の子。一方、泰子は智とその母親に自分の幸せな人生を壊されたのでは?と悩み続けていた。婚約も決まったある日、泰子は智と再会してしまうのだが…。
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もしあの時…。
たくさんの「もし」を自分でも考えてしまうため、泰子の気持ちはなんとなくわかる気がしました。
現実に起きている出来事は本当に複雑に絡み合っている。
自分にとっては悪い出来事が、別の誰かにとっては良い出来事だったりする。
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「あんたね、何かがはじまったらもう、終わるってこと、ないの。……逃げようが追いかけようが、はじまったらあとはどんなふうにしてもそこを切り抜けなきゃいけないんだってこと、そしてね、あんた、どんなふうにしたって切り抜けられるものなんだよ、なんとでもなるもんなんだよ」
物語に出てくるどうしようもない智の母親の言葉。
なんだか胸に沁みた。
この言葉を励みに生きて行こうと思います。