西加奈子「白いしるし」
売れない画家をしている主人公の夏目。知人に誘われて出かけた個展で見た絵に、心をさらわれてしまいます。そして、運命を感じてしまうのです。その絵の作者に。自分でも好きになったらダメだとわかってはいる…でも、好きだという気持ちが止められないんです。
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物語に引き込まれ、夢中で読んでしまいました。
誰かを好きで好きでしかたなくなってしまった人達の物語です。
正直、時に狂気すら感じました。
でも、わかる気がするんです。
物語の中のように強烈ではなくても、誰かを狂おしいほど好きになってしまった経験がある人には、登場人物達の気持ちが、痛いほどわかると思います。
恋をしている時って必死なんです。周りの事なんて関係ない。ただ”あの人が好き”と思いながら、必死に生きているだけなんですよね。