はらだみずき「銀座の紙ひこうき」
主人公の神井航樹は、志望した業界ではなく、銀栄紙商事という紙の代理店に就職を決めました。本当は、本が好きだという理由で、出版社を希望していたのですが、ダメだったため、割り切って、紙業界の仕事に向き合う日々でした。しかし、ある時、自分の好きな”本”は紙でできているという事実を実感し、自分も少なからず本作りに携わっているんだと気づいてから、主人公は生き生きし始めます。本を作りたいという夢が諦めきれないのです。苦労したり、喜びを感じたり、人間関係に揉まれたりしながら、自分の夢に向かって頑張る青年の物語です。
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普段あまり気にも留めていませんでしたが、紙の世界は奥深いです。
読み終えた時、ふと、この本は何の紙でできているのか気になりました。
その答えは最後のページにありました。粋なはからいですね!
(この物語を読んだら、紙の事が気になりますもん。作者の思うつぼでしょうか。笑)
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「なにかにこだわりを持ち、生き続けること。それはいつの時代であっても、ひとつの方向を明確に照らし出す、星の代わりになるような気がする。」
この言葉が印象に残りました。