主人公の深澤真紅は、上京し、粗悪品のアートワークを販売する仕事をしています。ポスター並みに大量生産されているもので、本物のアートとは言い難い作品を売ることに気が進まず、仕事を辞めたいと思いながら働いていました。ある時、職場の近くのジュエリーショップで、魚の形のダイヤモンドのリングに心惹かれ、店内で眺めていると、見知らぬ中国人男性から声を掛けられます。「あなたの小指を貸していただけませんか?」と…
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恋愛小説です。
この物語が気に入ってしまい、何度も読んでいます。忘れかけた頃にまた借りて読む、というのを繰り返しております。笑(いずれ購入すると思います。)
中国美術と絡めつつ、主人公の二つの恋が描かれています。
激しく燃え上がった恋。
主人公に底なしのパワーをくれました。中国語を習得し、何の確約も無いのに、一人で海外に渡る行動力は、恋をしていたからだと思います。
穏やかでひっそり芽生えた恋。
恋をしたらダメだと知りつつ、自分の気持ちには嘘はつけませんでした。けれど、この恋は、主人公の心をあたたかい気持ちで満たしてくれました。
どちらの恋も正解だと思います。様々な経験を経て、主人公は成長していくのですから。
そして最終的に、主人公は前に進んでいきます。
1枚の特別な絵画や、魚の形のダイヤモンドのリングに隠された、主人公だけが知る物語。
本当に美しい物語だと思います。