北村薫「スキップ」
17歳の高校2年生だった主人公の真理子が、仮眠をとって目覚めたら、42歳になっていました。どうやら自分は結婚しているらしく、自分と同じ年齢である17歳の娘もいるようです。25年もの時間を一瞬で跳び越えてしまい、戸惑い、失望する真理子。同じく家族も戸惑います。見た目はいつも通りの母であり、妻であるのに、中身は17歳になってしまったのですから…。
***
時代設定が昭和から平成初期となっており、今となっては古いです。
携帯電話はもちろん無く、固定電話のみ。
パソコンではなくワープロ。
CDやカセットテープの時代です。
(現実と照らし合わせると、主人公の真理子は私の母親世代、真理子の娘の美也子が私自身と同世代か少し上くらいかな…と思います。)
目覚めたら、知らない家にいて、知らない人と結婚しており、娘(しかも自分自身と同じ年齢)までいたら、本当に驚くと思うし、恐怖を感じると思いました。
鏡を見たら、25年分年老いた自分…。
文明も発達しています。もう異世界です。
さっきまで17歳だったと言っても、誰も自分の話を信じてくれません。
自分自身が同じ状況に陥ったら、とても真理子の様には生きていけないと思います。
どんな状況の中でも、懸命に生きる真理子の姿は本当に素敵でした。
決して諦めない17歳の真理子。
毎日、今、この瞬間を、生きぬく真理子の姿が、美しいです。
40代の見た目なんて関係ありません。
物語の中に出てくる真理子が書いた詩は、心に響く美しさがありました。
17歳の真理子でないと書けない詩だったのではないかと思います。
(涙もろい私は、すぐに泣けてきます…。笑)
さわやかな気持ちになれる物語です。
***
時と人というシリーズの3つのうちの1つが、この「スキップ」です。
実は「ターン」という物語も読んでみたのですが、どうも私には合わず、最初の方で本を閉じてしまいました。汗