角田光代「紙の月」
とある銀行から、契約社員が一億円を横領します。横領したのは主人公の40代の主婦です。現在、指名手配中の主人公。主人公自身が過去を振り返る視点と、主人公と関わりのあった人々の視点によって物語が進んでいきます。読み進むにつれ、どのようにして事件が起きたのかが解き明かされていきます。
***
はじめのうちはあった一般的な金銭感覚が、段々と崩壊していくのがなんだかリアルに感じました。
登場人物はみんなお金の使い方に問題があり、お金に囚われている人ばかり。
さみしさや不安、負の感情をお金で埋めようとするんです。
買い物をしたり、高級レストランや高級ホテルを利用したり…
お金を使って何かを手に入れることで、気持ちが満たされるのですが、それは一瞬だけ。すぐにまた満たされない気持ちになるのです。
きっと本当に欲しいものはお金ではないんですよね…
お金では買えないものなんですよね…