本のある ゆたかな暮らし

本を読んで心豊かに暮らしたい

川口俊和「この嘘がばれないうちに」「思い出が消えないうちに」

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川口俊和「この嘘がばれないうちに」「思い出が消えないうちに」

 

「この嘘がばれないうちに」では、喫茶店フニクリフニクラに相変わらず時間を移動したい人々が訪れてきます。そんな中で、喫茶店を営む時田家の人たちの過去も少しずつ明かされていきます。

「思い出が消えないうちに」では、舞台が函館に変わります。函館にある喫茶店ドナドナにも時間を移動できる不思議な座席があるのです。非常に面倒くさいルールがあるのも同じです。実はこの喫茶店はフニクリフニクラの店長の母親が営んでいるお店なのですが…

 

コーヒーが冷めないうちに」シリーズの続編です。すべての内容がつながっていますので、順番通りに読むことをお勧めします。

 

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このシリーズは、切ない物語ばかりですが、読んだ後は心があたたかくなり、前向きな気持ちになれるところが良いと思います。

 

文字数も多くなく、読みやすいです。

作者の方が舞台の脚本を書いていた方なので、その名残を感じる文章です。(悪い意味ではありません。)

 

本の中に「人の”死”自体が、人の不幸の原因になってはいけない…死なない人はいないから。死が人の不幸の原因であるならば、人は皆不幸になるために生まれてきたことになる。そんなことは決してない。人は必ず幸せになるために生まれてきたのだから…」という言葉が出てきます。

 

このシリーズは本当にこの言葉に集約されるなと思いました。

 

物語のすべてを通して、このことを伝えようとしているように感じました。

 

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お子さんにも読んでほしい物語です。中学生くらいから読めると思います。