J.K.ローリング「カジュアル・ベイカンシ― 突然の空席」
バリー・フェアブラザーが突然病死し、地方議会の議席に1つ空きが出来てしまいました。この地域は中・上流階級の住む場所の片隅に下層階級の住宅や薬物依存を治すためのクリニックがあるような地域です。そこで、何人かが選挙に立候補することにしました。しかし、地方議会のサイトに”バリー・フェアブラザーの幽霊”を名乗る匿名の書き込みがされ、立候補者や議員のトップシークレットが暴露されていきます。
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光と闇で言ったら、闇の部分に焦点が当てられた話でした。
バリー・フェアブラザーという1人の死によって、周りの人々の平穏な生活が乱れ(平穏に見せかけていた…と言った方が良いかもしれませんが)、悪い方へ向いてしまった気がしました。
長い物語です。しかも内容が重く、読むのに時間がかかりました。
様々なことが複雑に絡み合っています。
薬物依存、暴力、虐待…全て貧困によるものだと私は思いました。
その他にも、人種差別や低層階級への差別、家庭内暴力、学校でのいじめ…等々、内容は盛りだくさんです。
バリー・フェアブラザーは裕福な生まれではありませんでしたが、学校で勉強し、教育によって知識を得て、貧困を脱した人でした。おそらく彼が地域の子ども達のことに熱心だったのは、貧困の負の連鎖を断ち切るためだったのだと思います。
残念ながら、それについて妻からの理解は無く、そもそも志し半ばで死んでしまいますが…
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それぞれの家庭内で起きている事が重いです。
感受性の強い方は、心の準備をしてから読んだ方が良いと思います。汗
作者が一番伝えたかったこととは何だろう…と読み終わった今でも考えています。