辻村深月「ツナグ 想い人の心得」
死んでしまった人間と生きている人間を会わせることができる者。それが使者「ツナグ」です。何年か経ち、高校生だった使者の歩美も社会人になりました。仕事をするかたわらで、使者の役目も行っています。ご縁でつながった相手から、様々な理由で死者に会いたいという依頼を受けるのですが…
前作からのつながりを感じさせる場面が多々あるので、順番通りに読むことをお勧めします。
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この本を読むにあたって、前作の「ツナグ」を読み直してから、読み始めました。
前作は、どの話も涙が止まらなかったのですが、今回読んだ「ツナグ 想い人の心得」では涙が出ない物語もありました。
それでも物語自体はおもしろく、心温まるもので、読んでみて満足できました。
(読み進めるうちに、また涙が止まらなくなってしまうのですがね…)
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一番心に響いたのは、最後の章の「想い人の心得」です。
読んでいて涙が止まらなかったです。
「同じ時代に生きられるということはね、尊いです。」
「・・・想い人や、大事な人たちと、同じ時間に存在できるということは、どれくらい尊いことか」という言葉が胸に突き刺さりました。
私は毎日を大切に生きられているでしょうか。
大切に生きなきゃいけないのに、そうできない自分…。
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ここからはただの呟きです。この本を読んで自分なりに考えがまとまったので。
死んでしまった人は、この世からはいなくなってしまうけど、誰かの心の中には確実に存在している。
生きている自分はどんどん歳をとっていくけど、死んでしまったあの人は、あの頃の姿のままで、自分の一部となって一緒に生きている気がする。だって、声だって聞こえるから。心の中でだけど。