今村夏子「むらさきのスカートの女」
近所に少し変わり者の「むらさきのスカートの女」と呼ばれる人がいる。「わたし」である自称「黄色いカーディガンの女」は、その女のことが気になって仕方がない。常日頃観察し、家の場所、仕事の有無や今までの職歴、いつも行く公園、決まって座るいつものベンチ、クリームパンを食べる時の食べ方の癖すら知っている。なぜなら、むらさきのスカートの女と友達になりたいから…
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読みやすくてほぼ一気に読み終わりました。
むらさきのスカートの女よりも、むしろ気になるのは「わたし」である「黄色いカーディガンの女」でした。
最初から最後まで、ずっとおかしいんです。
行動も考え方も全てが普通じゃありません。
法に触れるようなことも平気でしています。
すべては、むらさきのスカートの女と友達になるために…
内容は重くないので、気軽に読んでみてください。
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読み終えた後、いつまでも「むらさきのスカートの女」と「黄色いカーディガンの女」のことを考えてしまいます。
「むらさきのスカートの女」と友達になりたいという気持ちを持ったきっかけは何だろう?とか、
友達になるための方法が、かなり普通じゃないのですが、友達になりたいを通り超してもはや研究者(行動記録をつけているため)やストーカーの様になってしまっているよ...。とか、
物語の中の様々な描写からわかるのですが、「黄色いカーディガンの女」は影が薄すぎるタイプのようです。なので、実は羨望の気持ちがそうさせたのかな...。等々。
色々と想像してしまいます。
おもしろかったです。